#9 看護学科 / 毛利貴子先生の教員エッセイ

今日もいつもの図書館へ

私には、行きつけの図書館が2つあります。
1つは本学附属図書館です。看護学舎と同じ敷地内にあります。教室研究費で購入した書籍の登録、学外機関へ依頼していただいた複写文献の受け取り、バックナンバーの記事や論文を探しに地下書庫へこもることなど、おそらく看護学科教員の中でも図書館の利用頻度は一、二を争うのではないかと思います。また、附属図書館の司書様は、毎年本学学部生・大学院生・看護師・他学看護学生を対象に看護研究文献検索の講義をし、様々な側面から私たちの教育・研究活動をサポートしてくださっています。臓器移植看護に関する論文を集めていた15年ほど前、オンラインで入手できる看護学の文献は限られていましたから、本学にない文献を求めて毎日毎日何本もの複写依頼を行いました。職員の皆さんの仕事を私が一気に増やしたのは間違いなく、いつかキレられるのではないかとビクビクしながら図書館へ複写文献を取りに通いましたが、毎回丁寧な対応をしてくださり、申し訳なさに頭を下げたまま後ずさってそのまま看護学舎へ走って帰った記憶が今もよみがえります。

もう一つの行きつけは、京都市中央図書館です。だいたい2週間に一度のペースで通い、数冊本を借りています。入力が少なければ出力が乏しくなるのは当然のことで、本を読めば語彙力は豊かになり、思考を整理する時や深める時の役に立ちます、というのは一般論で、私はまだそこまで至っていないのがはなはだ残念です。

「行きつけ」というくらい生活になじみ、そこにあるのが当たり前の図書館ですが、ただ本や雑誌を集めて並べているところではありません。「図書館の自由に関する宣言」(日本図書協会)冒頭には、「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」とあります。国民主権に基づく知る自由、表現の自由を保障するために存在する、非常に重要な任務を帯びた機関であるのが図書館です。いつも静謐で厳かな空気に包まれている図書館の存在が、私たちの平和な生活を保障するものであることをありがたく思いつつ、今週末もサンダル履きでふらりといつもの図書館へ行こうと思います。

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