#3 京都府立医科大学医学部看護学科

看護職を志す学生たちが 勉学や研究に励める環境を

1889年(明治22年)開設、京都府立医科大学医学部看護学科は130年を超える長い歴史の中で、1万人以上の看護職を輩出してきました。現在も、医療人をめざす志高い学生たちが、広小路キャンパス・看護学学舎で学び、附属病院で多くの実践や実習を重ねています。京都府立医科大学医学部看護学科の吉岡さおり学科長に、看護学科の学びの特色、広小路キャンパスの魅力、「広小路活性化プロジェクト」における今後の展開などを聞きました。


京都府立医科大学
看護学科長
吉岡 さおり(よしおか・さおり) 

九州大学病院、医学研究所北野病院で看護師として勤務。大阪大学大学院にて看護学修士、広島大学大学院にて看護学博士を取得。2015年より本学准教授、2022年7月に医学部看護学科看護学講座 成人看護学・がん看護学教授、2023年4月より現職。


―京都府立医科大学医学部看護学科の学びの特色は?

「生命および人間の尊厳を基盤に、豊かな人間性と創造性を培い、高度の専門知識技術、そして看護専門職としての総合的な能力を有して、看護学の発展と保健医療と福祉の向上に貢献できる人材を育成する」を教育理念としています。臨床現場でリーダーシップを取れる人材、研究を推進して看護学そのものを発展させていくことができる人材など、専門職業人の育成をめざしています。2002年(平成14年)に京都府下で初の4年制看護大学となり、2007年(平成19年)に大学院保健看護研究科修士課程(現、保健看護学研究科博士前期課程)、2018年(平成30年)には博士後期課程を設置しました。大学では4年間一貫して看護学を学びます。学部の中に保健師教育課程と助産師教育課程があり、看護師と保健師、もしくは看護師と助産師、最大2つのライセンスを取得できるのが特色です。附属病院での実践や実習ができるのは何よりの強みで、現場の雰囲気を肌で感じ、先輩の姿を見て、卒業生の先輩から直接実習指導を受けます。附属病院への就職も含め、将来を見据えた学習ができるのも特徴です。また単科大学ですが、医学科の学生との交流もありますし、何より教員と学生との距離感が近く、アットホームな雰囲気で学べることも本学ならではだと思います。

―広小路キャンパスで学ぶことの魅力は?

キャンパスから徒歩圏内に鴨川や御所、著名な社寺仏閣などがあり、自然も豊かで、京都の真ん中の一等地とされる場所で学べることはとても贅沢だと思います。河原町と広小路キャンパスはわずかの距離ですが、広小路の方が静かで落ち着いた空気感で、時間の流れもゆったりしています。学生たちが集中して勉学や研究に励むにはとても適した環境です。看護学学舎の目の前に図書館があり、学生たちにとっての知識のリソースになっています。自習や国家試験対策など、自宅や下宿では集中できないからと図書館で一生懸命に勉強している学生もたくさんいます。調べものをしようと思った時にすぐ図書館へ行ける、自習がいつでもできるという環境は、やはり勉強しようという前向きな気持ちになりますよね。図書館に行けば、必ず誰かしらが勉強しているので、それを見て刺激になったり、息抜きにおしゃべりしたりできるのもいいようです。学生たちは附属病院での実習の時は、看護学学舎でユニフォームに着替えて、広小路通から河原町通を渡って行くんです。初めての時は緊張したり、期待に胸が膨らんだり、実習を重ねるうち使命感が溢れてくることもあるかもしれません。そういう意味では、広小路キャンパスは、学生たちにとっての“始点”であり、広小路通は“学びと実践をつなぐ道”といえるのではないでしょうか。

―看護学科卒業後の進路は?

看護師資格を取得した学生のほとんどは病院で看護師として活躍しています。附属病院への就職も増えてきていますし、それ以外の病院や地元に帰って看護師になる学生もいます。東京の日本を代表するような大学病院に行きたいという強い思いをもって就職した学生もいました。保健師の資格を取得した学生の多くは京都府・京都市など行政関係で保健師をしています。助産師資格を取得した学生は附属病院や産科のある病院に就職しています。大学院に進学する学生もいます。大学院保健看護学研究科には、博士前期課程・後期課程があり、いわゆる修士課程と博士課程の両方が揃っています。前期課程の修士には、専門看護師コースがあり、がん看護専門看護師の資格が取得できます。2024年度には精神看護専門看護師コースも設置されます。研究はもちろん、高度実践看護師という、より専門性の高い看護師を養成しています。

―看護学科における「広小路キャンパス活性化プロジェクト」の取り組みは?

看護学科主導の取り組みは今のところありませんが、オープンキャンパスでプロジェクトに関連する企画ができればと思っています。毎年、学生たちの引率でキャンパス内を案内していますので、広小路キャンパスの魅力を紹介したいと考えています。プロジェクトとしては、学生たちの心地よい居場所づくり、交流や発信のできる場所づくり、本学のことを好きになってくれるようなキャンパスづくりが進められています。屋外テーブルとベンチが設置され、お天気の良い日には、学生たちが食事をしたり、談笑したりする風景が見られるようになりました。キッチンカーが来る日はランチやスイーツを楽しみにしているようです。広小路キャンパス内には看護実践キャリア開発センターがあり、現役の看護師の方が新しい学びのために研修会に来られたり、一旦離職された方がリカレント教育で学び直しに来られたりします。年代やキャリアを問わず、多くの方が訪れる学びの拠点です。この空間もこれから整備が検討されることになっています。

―「広小路キャンパス活性化プロジェクト」を応援、ご支援くださる方へメッセージを。

コロナ禍以降、全国民が医療人材の大切さを実感し、将来に向けての人材育成・確保という課題意識を共有したと思います。ここ数年は本当に難しい時代で、そんな中でも、一生懸命に勉強して、医療人めざして高い志をもち、入試も突破して本学にやってきてくれた学生たち。そんな学生たちが思い描くキャンパスライフとは違う面もあったかもしれません。ハード面、雰囲気づくりなど、学生たちがいきいきと過ごし、勉学や研究に励める環境を整えていきたいと思っております。看護学科130年の歴史の中では、常に時代の求める医療に応えるための改革をくり返してきました。コロナ禍を経た今、多様な変化がより強く求められていると感じます。医療の現場ではチーム医療を推進していくためのリーダーシップ、また国際化が進む中で国際感覚やコミュニケーション能力も必要とされるでしょう。少子化が進む一方で、医療ニーズが高まるこれからの時代に向けて、看護学科ではカリキュラムの改革にも取り組んでまいります。本学で学び、社会に貢献できる医療人を育成すべく、力を尽くしてまいります。ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

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