#4 株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場 厚さん〈後編〉

“「おもしろおかしく」の企業文化に 世界中から人が集まり、新たな技術が生まれる”

京都を代表する企業である株式会社堀場製作所。研究開発型企業として「はかる」技術を磨き、応用発展させ、「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」という3つのフィールドで社会に大きく貢献しています。代表取締役会長兼グループCEOの堀場厚さんに、図書館や本にまつわる思い出<前編>、人を育む大切さ、これからの医療人に期待すること<後編>などをお話しいただきました。


株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 
堀場厚(ほりば・あつし)

1948年生まれ。71年、甲南大学理学部卒業後、渡米しオルソン・ホリバ社に入社。製品の海外オペレーションに従事。カリフォルニア大学大学院工学部電子工学科修了。77年に帰国し、堀場製作所海外技術部長に就任。92年、代表取締役社長就任。現在、代表取締役会長兼グループCEO。世界29の国と地域に分析・計測システムを中心とした様々なソリューションを提供。著書に「難しい。だから挑戦しよう」(PHP研究所)、「京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか」(講談社)。


ーHORIBAグループの社是「おもしろおかしく」とは?

自分の信念をもって取り組んでいることや趣味は、いくらやっても疲れないし、眠たくならない。それと同じように仕事も時間を忘れて没頭できれば理想だと、創業者である父は「おもしろい」と思うことだけをやっていたんです。優秀な研究者を集めて、小さな規模でも日本一、世界一と言われるものを創り出すことができました。販売や生産は外部に委託し、開発に集中することができたのです。しかし、そのスタイルを続けるうちに研究開発部門は強いけれど、顧客から最新の情報が入ってこない状況を作り出してしまっていました。販売はもちろん、管理部門、生産、知財など、バランスのとれた組織でないと企業は成長しないと考え、私が44歳で社長に就任した時に組織の再構築を実施しましたが、結果、3年連続で減収減益となりました。「自分の信念を持ち取り組んでいるのだから、結果は必ずついてくる」、という父の言葉に救われ、私のことを信頼してくれているのだ、とうれしかったですね。それぞれの部門で働くすべての社員が「おもしろおかしく」仕事ができるように改革を推進し、その後は右肩上がりで、以降30年は順調な業績が続いています。もちろん大変な時もありますが、それを乗り越えることもまた「おもしろい」と、社員みんなががんばってくれています。

ー人の育成において大切にしていることは?

HORIBAグループは、世界29の国と地域に50のグループ会社があり、約8700人が働いています。約3000人が日本人でおよそ65%が外国人。学位を有する社員は国内外で約260名、そのうちの8割が海外のメンバーです。つまりHORIBAの研究開発には海外の人財が必要不可欠なのです。しかし、海外の拠点は数十人規模の会社もあり、必ずしもすべてがグローバルサイズではありません。それでも彼らが日系企業のHORIBAで働くのは「おもしろいことができるかどうか」なのでしょう。おもしろい技術に投資する会社は世界的にも意外と少ないと思います。弊社は「技術がおもしろければ、短期間ではなく継続して根気よく投資する会社」という評判が広がっているようで、M&A(企業の合併・買収)を進める場合も、先方からのオファーがほとんどです。HORIBAの「おもしろおかしく」の企業文化に惚れ込んでプロポーズしてもらったのだと感じています。他にはない技術をもつけれど、長期的な経営投資が難しい会社からプロポーズされて、3年4年投資すると世界一の製品が生まれるということもあります。お金だけではない価値で世界中から人が集まってくる、まさに「おもしろおかしく」が企業文化となっています。

ーこれからの医療人に期待することは?

学んだ知識や技術、経験を人のために生かし、たくさんの患者さんたちを治して、健康に導くことはもちろんですが、その次のステップにも進んでほしいと思っています。例えば、我々企業と協力して、次世代のよりよい医療、よりよい技術がもっともっと生まれるよう努力することも新しい時代のニーズにマッチしています。日本でそういう医療人がたくさん活躍されることを期待しています。我々の技術は製薬・創薬の業界にも貢献していますし、我々の周辺の分野である企業も巻き込んで、医療と連携して、さらに発展させていくようなスケールの大きな医師がたくさん育ってほしいと思います。京都には素晴らしい技術や歴史のある企業がたくさんありますから、京都府立医科大学で学ぶ未来の医療人の学生さんにはぜひがんばって実現してもらいたいと、心から応援しています。

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